「命をつなぐ営みに感謝」

青年本部長 岡野 孝行

 梅雨空の中にも、美しく色とりどりの花を咲かせる紫陽花の姿に、心潤(うるお)う7月となりました。梅雨が明ければ夏本番となります。じめじめと肌にまとわりつくような暑さに負けず、すっきり晴れ晴れとした心で過ごさせていただきましょう。

 さて、先日妻と生後5か月になった子供と3人で近所を散歩していると、道路端をのそのそと歩くセミの幼虫を発見しました。このままでは、車に轢(ひ)かれたり、人に踏まれたりしないかなぁ、と心配になりましたが、自然にお任せしようと思い、何もせず無事成虫になることを祈りつつ、その場を去りました。2,3日後家から外に出た際、元気に鳴く一匹のセミの声が耳に入りました。まだ梅雨の最中ながらもせっかちなセミがいるものだなと思いつつも、もしかしたらこの前のセミでは・・との思いが頭によぎり、無事成虫になって元気に鳴いているのかなぁと、小さな命の躍動にほっこりとした思いになりました。

 そんな自粛期間中の、自粛太り対策も含めた散歩を通じての気付きを一つ紹介させていただきます。それは、自宅から300mくらい離れた場所に、縄文時代の遺跡である、デーノタメ遺跡の存在を発見し感じたことです。

 この遺跡は縄文時代中期から後期にあたる、5000年から3800年前の遺跡で、なんと環状集落(※1)を持つ遺跡としては、関東最大級のものなのだそうです。残念ながら発掘跡を見学できる場所はなく、今現在は案内看板が一つ立っているだけでの簡素なものとなっています。

 まさか、埼玉の片田舎に縄文時代から人が居住しているとは思いもしておらず、もしかしたら私たちはその血を引いているのでは!!と、案内看板の前で悠久の歴史に一人思いを馳(は)せる機会となる発見でした。(ちなみに、そんな親のワクワク感を知ってか知らずか、胸に抱える息子は散歩中スヤスヤよく眠ります。)

 諸説ありますが、縄文人の平均寿命は長くても30歳くらいと推定されているそうです。その主な理由としては、昔は乳幼児の死亡率が高い上に、病気や怪我で命を落とす確率が高かったからだそうです。今の日本人の平均寿命は男女ともに80歳以上ですから、それと比べるとだいぶ短いですね。ちなみに、日本の平均寿命が50歳を超えたのは1947年(昭和22年)だそうで、わりと最近なことに驚きを感じます。そう考えると、私たちのご先祖様は長い年月をかけ、食料事情や医療技術を発達させ、争い、天災、伝染病等の命を脅(おびや)かす様々な困難を乗り越え、命を繋いできてくださったことに気づかされます。

 一方、今私たちが置かれた状況に目を向けると、新型コロナウイルス感染拡大の状況は、わが国日本では少しずつ落ち着きつつありますが、世界の状況を見ると、今なお拡大が続く国もあり、決して終息したとは言えません。

 今私たちに求められるのは、この数か月に積み重ねた経験をしっかりと振り返り、正しい理解と慎重な判断の元、太古の昔よりご先祖様が、様々な生命存続の危機に瀕(ひん)しても、絶え間なく繰り返してきてくださったように、時代や環境に応じた新たな生活様式を創造していくことだと感じます。

 7月は東京で、8月は全国各地でお盆を迎えます。命の源であるご先祖様に感謝の念を持ってお迎えさせていただくことはもとより、長い月日をかけてつなげてくださった、今私たちの身体に宿る命を尊び、新たな生活様式を考え実行し、健康な日々を過ごさせていただきましょう。


※1環状集落・・・中央に広場と集団墓地を設け、その周りに竪穴住居を環状・同心円形に配置した、縄文時代集落の典型的な形。


デーノタメ遺跡発掘調査の様子

環状集落のイメージ