3、『伊勢神宮』
日本民族の誇りとして、伊勢神宮に参拝する意義を理解し、御鎮座されて二千年という長い間、日本人の「心の故郷」として親しまれてきた壮大な時間の流れと、神話から現代への結びつきを知り、この参拝の尊さを学習しよう。
三聖地巡拝錬成で私たちが最初に参拝するのは、日本民族の総氏神として崇敬(すうけい)を集め、「心の故(ふるさと)」として親しまれている、三重県伊勢市にある伊勢神宮です。
「伊勢神宮」とは、皇大(こうたい)神宮(内宮(ないくう))、豊受(とようけ)大神宮(外宮(げくう))、別宮(べつぐう)(14)、摂社(せっしゃ)(43)、末社(まっしゃ)(24)、所管社(しょかんしゃ)(42)の125社の総称で、正式名称は「神宮」といいます。
外宮
御鎮座:雄略(ゆうりゃく)天皇22年(約1,500年前)
正式名称は豊受(とようけ)大神宮といい豊受大御神をお祀(まつ)りしています。
天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)に食物をお捧げする神(御饌津神(みけつかみ))で、稲をはじめとする食物・穀物の主宰神(しゅさいじん)です。このことより、衣食住ひいてはすべての産業の守護神としてあがめられています。
内宮
御鎮座:垂仁(すいにん)天皇26年(約2,000年前)
正式名称は皇大(こうたい)神宮といい天照大御神をお祀りしています。
御皇室の御祖神(みおやがみ)で、天に照り輝く太陽のように、広大無辺な光を与えてくださる私たち日本民族の大御親の神さまです。
したがって、私たちはみな、天照大御神さまから「命の源(分霊(わけみたま))」をいただいて存在していることになります。
私たちは、ただ命があるだけでは生活できません。毎日いただく食物をはじめ、衣食住の恵みがなければ生きてゆくことはできないのです。
つまり、私たちが生かされ生きていく一切の根本的な要素が、内宮と外宮のご神徳に集約されているとも言えます。日本人として、さらには人間として感謝すべき源が、伊勢神宮にはお祀りされているのです。
内宮(正殿)
三種の神器と皇大神宮御鎮座
わが国最初の正史(せいし)『日本書紀』の伝えによりますと、国の内に隅なく光が照り徹ると称される天照大御神の御神体(ごしんたい)は、八咫鏡(やたのかがみ)で、八坂瓊(やさかの)勾玉(まがたま)と草薙剣(くさなぎのつるぎ)を加えて三種の神器と呼ばれます。
この御鏡を代々宮中で天皇ご自身がお祭りされていましたが、第10代崇神(すじん)天皇の御代に皇居の外、大和の笠縫邑(かさぬいのむら)の神聖な場所に【※1】神籬(ひもろぎ)を立ててお祭りすることになりました。
次の第11代垂仁天皇の御代に至って、皇女の倭姫命(やまとめのみこと)が新たにお祭り申し上げるにふさわしい地を求められることになりました。倭姫命は大和の国を始め伊賀、近江、美濃の諸国を巡られましたのち、伊勢の国の度会の地、宇治の五十鈴川の川上に到られ、垂仁天皇26年(約二千年前)、天照大御神のお教えのままに【※2】祠をたててお祭り申し上げることになりました。
【※1】「神籬」
…榊のような常緑樹で囲われた神聖なお祭りの場。
【※2】「祠」
…社とも書き、家や屋の代という意味で、大きなお祭りに際して、そのつど新たにたてられる建物。
天照大御神宮(正殿)
式年遷宮
独特の建築様式で造られているのが、「唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)」と呼ばれる伊勢神宮独特のお社(ご正殿)です。
このお社を建替える、神宮式年遷宮は、20年に一度、内宮や外宮の正殿、別宮の全ての社殿と鳥居、橋などの造り替えが行われます。
わが国で最も重要な行事のひとつとされ、約1,300年という長いあいだ続いており、世界にも類例をみない一大伝統祭事です。
式年遷宮においては、1万本以上の檜が用材として用いられます。第62回式年遷宮(平成25年)で用いられる長さ8m、重さ1トンにもなる檜の用材を曳(ひ)く『御木曳(おきひき)行事(平成19年)』には、多くの解脱会員(1,848名)も参加させていただきました。
御木曳行事
別宮 格式ある尊い御宮
別宮とは、御正宮(皇大神宮、豊受大神宮)の「わけみや」という意味で、所属の宮社のなかでも重んじられ、皇大神宮に10ヶ所、豊受大神宮に4ヶ所の別宮があります。
■豊受大神宮 別宮(御祭神)
①多賀宮(たかのみや)
(豊受大御神荒御魂(とようけおおみかみのあらみたま))
②土宮(つちのみや)
(大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ))
③月夜見宮(つきよみのみや)
(月讀尊(つきよみのみこと)・月夜見尊荒御魂(つきよみのみことのあらみたま))
④風宮(かぜのみや)
(級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと))
■皇大神宮 別宮(御祭神)
①荒祭宮(あらまつりのみや)
(天照坐皇大御神荒御魂(あまてらしますすめおおみかみのあらみたま))
②月讀宮(つきよみのみや)(月讀尊(つきよみのみこと))
③月讀荒御魂宮(つきよみのあらみたまのみや)
(月讀尊荒御魂(つきよみのみことのあらみたま)
④伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)
(伊弉諾尊(いざなぎのみこと))
⑤伊佐奈弥宮(いざなみのみや)
(伊弉冉尊(いざなみのみこと))
⑥瀧原宮(たきはらのみや)
(天照坐皇大御神御魂(あまてらしおますすめおおみかみかみのみたま))
⑦瀧原竝宮(たきはらならびのみや)
(天照坐皇大御神御魂(あまてらしおますすめおおみかみかみのみたま))
⑧伊雑宮(いざわのみや)
(天照坐皇大御神御魂(あまてらしおますすめおおみかみかみのみたま))
⑨風日祈宮(かざひのみのみや
(級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと))
⑩倭姫宮(やまとひめのみや)
(倭姫命(やまとひめのみこと))
別宮(倭姫宮)
伊勢神宮の豆知識
内宮の宮域は、なんと5,500ヘクタール(東京ドーム約1,176個分)の広さで、大別すると神域と宮域とに区分されています。
神域とは内宮のご社殿を中心とした付近のおよそ93ヘクタールの地域で、御鎮座以来約2,000年間、まったく斧を入れることのなかった禁伐林です。
宮域林も大部分が天然林で、神宮の風致上、大切な区域のため、風致の改良や樹木の育成に必要な場合以外は、伐採しないことになっています。太古のままの大自然を感じる事が出来るのも伊勢神宮の特徴です。
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