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夏の夜、御霊地で地面を這(は)う小さな命より感じたこと

岡野 孝行 青年本部長

 セミの鳴き声にも季節の移り変わりを感じる9月となりました。私の住む北本では、8月上旬はアブラゼミやニイニイゼミの大合唱で、8月も下旬に近づくとツクツクボウシが鳴き始めます。ツクツクボウシの声を聞くと、「夏休みももう終わっちゃうな~、宿題全然やってないや・・・・」と、子どもの頃よく、我が身の計画性のなさを嘆(なげ)いていたのを思い出します。本能のままに遊びほうけていた自身の子供時代が懐(なつ)かしくもあり、うらやましくもあります。

 さて、夏の夜に御霊地のお山を歩くと、セミの幼虫が必死に地面を歩き、木に登り、孵化(ふか)する、という光景を目の当たりにすることが出来ます。その一歩一歩必死に地面を這う姿に力強さを、そして成虫となる瞬間はどこか神秘的なものを感じます。夜の御霊地でその姿を見つけるたびに、頑張れ!と応援してしまいます。

 セミというと地上に出て約1週間程度が寿命という説もありますが、昨今の研究では、長い種で1ヵ月程生きるということもわかりつつあるようです。また、地上での生活は短いですが、地下生活をする期間は3-17年にも達し、実は意外と昆虫としては寿命が長いようです。また、セミには成長の過程で、‘さなぎ’という状態がなく、卵→幼虫→成虫という不完全変態をする虫なのだそうです。これは、一緒にその様子を観察していた姪(めい)っ子に教えてもらいました。卵・幼虫の期間が圧倒的に長いのがセミの一生なのですね。

 よく‘セミは成虫の期間が短くてかわいそう’といったたぐいの話を耳にしますが、それは人間の勝手な憶測で、もしかしたらセミにとっては地中で静かに暮らす時間が幸せな時なのかも、と余計な妄想(もうそう)も巡(めぐ)らせたりしているのは私だけでしょうか。ともかく、セミにとっての幸せが何なのかとは、人の幸せが他人に決められるものではなく、自分が決めるものだということと、同じなのかもしれませんね。

 話がすっかり散らかってしまいましたが、夏の夜の御霊地で、小さいながらも一歩一歩と歩を進め、必死に木にしがみつき成虫となるセミの姿から、小さな命の力強さと生命の神秘を感じさせていただけたお話でした。

 元気に鳴き声を響かせるセミのように、どのような環境、状況下においても、一つひとつなすべきことを着実に実行し、元気に羽ばたけるよう今月も頑張っていきましょう!

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