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青年の主張

令和3年7月度 関西ブロック青年講座にて     

滋賀教区・滋賀守山支部

梅景 淳

 今回、講座で青年の主張のお役目をいただき、考えたところ引き籠っていた頃の話をさせていただきたいと思います。今まで、引き籠っていたことを、誰かにざっくりと話したことはありましたが、その事が恥ずかしい、情けないと思っており、詳しくは話したことがありませんでした。しかし今回、このお役目をいただき、良い機会だと思い話をさせていただきたいと思います。

 僕は18歳から22歳のころまで家に引き籠っていました。原因は高校時代から人の中にいることが怖くなったことにあります。その理由ですが、生まれてすぐに出始めたアトピーで肌に自信が持てなくなり、周りの人に「どう思われているのだろう?」と感じてしまうこと、またアトピーのことが原因かはわからないのですが、生活の中でひどい緊張が常に襲ってくるため、不安な気持ちがありました。高校の2年生ごろから授業を受けるよりも保健室に居ることが多くなり、単位が足らずに留年が確定しました。もう1度学校をやり直そうかと思ったのですが、それも2カ月ほどで学校に行かなくなり、引き籠った半年後には高校を辞めることとなりました。学校を辞めてからも、異常な緊張や不安感は治まることはなく、家に居るときはいいのですが、買い物などに行くと視線が気になり、急いで用を済ませなければなりませんでした。また、電車も1人では乗れず、緊張と圧がかかる不安がありました。身体の方は、顔を中心にアトピーが悪化し、頭の毛が抜け、1年ほどで生えてはまた抜けを繰り返していました。そして、外出はほとんど夜のみとなり、そんな生活が1年半ほど続くようになりました。このままではダメだと思い、祖父の友人が働いていた新聞屋を紹介していただきました。チラシを分け、束にする作業でしたが、周囲が気になり震えが辛くなって2週間ほどで辞めてしまいました。このことで、祖父の顔に泥を塗ってしまったことは申し訳なく思っています。次に近所に新しく工場が立つこととなり、その建設地の発掘調査のバイトをすることとなりましたが、古い地層を掘るので泥が跳ね顔に付くことがよくあるため、それが原因かはわかりませんが、顔がアトピーで腫れ上がり、また周りの目が気になって辞めてしまいました。家族には近所の目もあるので、子供がずっと家に居るのは心苦しかったと思いますし、心配も迷惑も掛けていました。

 また僕には兄と弟が居るのですが、兄弟で共通の友人も居るため僕のことを話しにくかったと思います。ただ一つ有難かったのは兄との仲でした。中学時代は煙たがられており、必要以上の会話は無かったですが、大人になるにつれて色々と話してくれるようになりました。くだらないことも多かったですが、そんな会話に救われたこともありました、今思うと気を使ってくれていたんだと感じます。1年半を過ぎた辺りに、支部の感謝日に出させていただいたときに、前支部長より「学校に行けなかった分だと思い、これから毎日支部に通い、お浄めをさせてもらいなさい。」と勉強いただきました。正直続けられるか心配でしたが、いつも難しく考えてしまうところが悪い癖でしたので、その時は「わかりました。」と答えました。それから、支部長、会員さんと共にお浄め毎日させていただきました。

 また、もう一つ言われたことがあり、隣町に住む母方の祖父母に解脱誌を届け、お墓の手入れとご挨拶をしっかりしなさいと教えていただきました。あまり行けていなかったお墓参りも出来、改めて母方の祖父母があっての自分が居ることに気づくことが出来ました。この足らない部分を支部長は僕に教えて下さったと思います。よく支部長の仕事についていったり、畑仕事を手伝わせていただきました。足を引っ張ることもあり、邪魔しているようにも感じていましたが、支部長に合わせて動かないとダメだと思い焦る僕に、「何でも完璧にこなせる人なんていないから、焦らずお前のペースでこなせば良いから。」と教えていただけたことが印象に残っています。そこから、少しずつですが心が変わり、たくさん人が集まる支部行事にも参加できるようになりました。

 引き籠って4年が経ったある日、現支部長が経営されているラーメン屋の従業員が足らなくなり、入るように言われました。支部とは違い、知らない人が働く場所で、お客さんを接客することにかなりの不安と焦りを感じました。しかし、いざ働いてみると、パートさんと同じように働けることに気づきました。パートさんにも良くしていただき、数年前の自分から変われていることに嬉しくなりました。もちろん人より多く怒られることも多く、身体の調子も崩すことも多かったので、迷惑もかけましたが、何より人並みに働けていることが嬉しかったです。

 そんなラーメン屋も3年勤めましたが、甘えも生じるため、このままでは自分もダメになると思い、今は地元の大手スーパーで働かせていただいています。ラーメン屋で3年近くも働けたのは、パートさんや支部長のおかげだと思います。今の仕事も、沢山のお客さんに来ていただくので、苦情もあり、怒られることもありますが、下を向いてばかりでは迷惑になるので、反省と共に気持ちを切り替えて仕事をするようにしています。お客さんからは励ましの言葉をいただくようになり、「よく頑張っているね。」「お兄ちゃんと喋れるのが楽しみ。」とも言っていただけます。あと、「アトピーよくなってきたね。」と、仕事だけでなく、自分のことをこんなにも見てもらえている、ということも励みになっています。現在の仕事は、勤めて7年となりますが、頑張って仕事をさせていただいています。昔の自分のような部分がなくなったわけではありませんが、これからも頑張っていきたいです。

 以前、御霊地でお世話になっている方から、「あまり自分を責めたりせずに、恥ずかしがらなくていいと思う。普通の人が経験したことがない苦しみを経験できたのなら、それだけ人にやさしくなれるよ。」と教えていただきました。これからは、過去に悲観するだけでなく、うまくはいえませんが自分の力に変えていきたいと思います。

 ありがとうございました。


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